![]() オリコン・メディカル社とのやり取り
何故、サンプル数の公開ができないのか? オリコン・メディカル社は、平成15年8月に「患者が決めた!いい病院」と題した本を発売しました。この本は、インターネットで集計したアンケートをもとに、小さな診療所から大学病院や大きな公立病院まで、 すべての医療機関をランキングしたものです。当会は、この本を検討したところ、その本の趣旨もさることながら、調査方法に統計学上の重大な問題が考えられることを発見しました。この調査は統計的な正当性を欠いている可能性が高く、そうした調査は患者をミスリードするものです。そこで、同社に対して、平成15年11月20日付で、調査方法に問題があることを指摘し、統計的な正当性を判断するための情報提供を求める申入書を送付しました。 これに対して、12月5日、同社より回答がありました。 しかし、その回答は、意味不明で、調査専門会社を標榜する同社の、統計学やマーケティングリサーチについての無知を露呈するものでした。 また、当会の質問にはまったく答えていない誠意を欠くものでした。 当会は、使命感をもち地域医療に従事する立場から、かかる欠陥調査の可能性の高い医療機関ランキング本の横行を看過することはできません。 引き続き、オリコン・メディカル社に対して申し入れを行うとともに、同誌の出版差し止めと回収を求めていく考えです。 患者様におきましては、是非、両者の主張をご精査され、ご判断いただきたくお願い申し上げます。 解説で簡単に問題点を述べます。 詳しくは、当会の申入書を併せてご覧頂きたくお願いいたします。 1. 欠陥調査に基づくランキング「患者が決めた!いい病院」 同誌の決定的な問題は、サンプル数が少ないことです。最低のサンプル数が10票しかないことは同社の説明からわかります。 これでは、ちょっとした誤差でも大きくランキングが変わってしまいます。例えば、同様の調査を繰り返せば、その度にランキングはまったく違うものになってしまうでしょう。 しかも、同誌では、各医療機関得票数=サンプル数が公開されていません。あたかも多くの患者が公平に医療機関を選んでいるかのような誤解をあたえるものです。 他にも以下の問題点があります。
しかし、これらの問題にはまだ賛否両論が考えられます。ところが、調査の基本となっている統計的な正当性の欠如は議論の余地がない問題です。オリコンメディカル社は、そうした疑義を払拭するためにも、サンプル数を公開する義務があると考えます。 2. 社会的責任への無自覚をあらわす誠意を欠いた回答 基本的で一番重要なことを誤魔化しておきながら、「長年のマーケティング手法を駆使しながら、患者の視点に立った情報を客観的かつ公平に評価し、わかりやすくランキングしました」と主張する同社の姿勢に、良識の欠如を感じざるを得ません。 当会がこの点を正したのに対して、オリコン・メディカル社から以下の回答がありました。
一言で言って、意味不明です。オリコン・メディカル社は、意味不明の言葉を並べた上で、「サンプル数の公開はできない」とだけ言っているのです。いったい、同社は、調査やその出版の社会的責任についてどのように認識しているのでしょうか。 もしも、同社が調査は正当であると言うのなら、自らすすんでサンプル数の公開をするはずです。公開を拒否する理由がないからです。それを意味不明な理由でサンプル数の公開を「遠慮」するのは、自ら、欠陥調査であることを認めていると断じざるを得ません。 3. 賄賂によるランキング操作等の不正を防止できるのか? 「患者が決めた!いい病院」は、単に欠陥調査の疑いがあるだけではありません。このような低サンプル数による調査はランキング操作を簡単にされてしまいます。たとえ、同社が「無作為抽出(ランダムサンプル)による調査であるからランキング操作はない」と主張しても、サンプル数も公開しない会社の主張する「調査の公正さ」がどれだけ信用できるものでしょうか。 「例えば、大金を支払ってでも高いランキングを獲得したい」と願うような病院や診療所が同社から数票を「買う」だけでランキングは跳ね上がってしまうのです。病院とは名ばかりの金儲け主義のバブル病院や、イメージ先行のバブル診療所ほど、票をコネやカネで買おうとする誘因が強いと言えるのではないでしょうか?そして、上記のように社会的責任感の欠如したオリコンメディカル社が、かかる誘惑に負けない、と保証できるのでしょうか? 4. 欠陥情報は、消費者=患者をミスリードする 日本の医療は、開業医や病院の既得権益を保護するために、政府による様々な規制があります。医療機関の広告や情報提供はその典型的なものです。そのため、どこの医療機関がどのレベルにあるかについて等、適切な医療情報が医療サーヴィスの消費者=患者に十分に提供されていません。また医師会の強い反対のためカルテ開示もいまだに法制化されていません。このような状況では、消費者=患者は自分が本当に良い医療機関で正しい治療を受けているのかを知ることがとても難しいのです。情報不足の状態では、消費者=患者は、患者は手探りと試行錯誤で良い医療機関を探さなければなりません。 このことが医療機関相互の競争を妨げ、最近の度重なる医療事故の発覚に如実に見ることができる医療の質低下の一因と考えられます。 多くの学者や識者が指摘しているように、消費者=患者への適切な医療情報の提供は、日本の医療を改革する上でのキーワードです。しかし、提供されるべきはあくまで適切な情報です。「いい加減な情報」は消費者=患者をミスリードし、返って医療の質の低下を招くおそれがあります。それが医療機関自らの広告で有れば、割り引いて判断することができますが、第三者的立場にある団体が、「患者が決めた!」と称して、実は欠陥調査に基づくランキングを発表することは限りなく有害に近いと言わざるを得ません。 オリコン・メディカル社には、上記指摘を真摯に受け止め、サンプル数を公開して頂きたいと考えます。また、その結果、調査に欠陥があることが判明した場合は、「患者が決めた!いい病院」の出版を差し止め、すでに販売した分を回収していただきたいと考えます。 以上、当会の見解を述べました。ご意見等をお寄せいただけたら幸いです。
医療法人社団レニア会
事務局 広報担当 高橋秀行 |